0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる

宇佐美光雄

tag: 組み込み 半導体 実装

技術解説 2003年6月27日

●サイズが小さくなると機械的強度が上がる

 上記のような目的に利用されるRFIDチップには,紙媒体との親和性が強く求められる.図1は本RFIDチップの機械的衝撃試験とその結果を示している.紙媒体のような薄いものに半導体チップを組み込んだ例は少なく,もっとも懸念されたのがいかにして機械的強度を確保するかということだった.

 試験の結果,チップ・サイズを0.5mm角以下にすることによって,耐衝撃強度の向上が見られることがわかった.実験した半導体チップの厚さは0.06mmである.チップ・サイズを小さくすることによって,強度などの信頼性が向上することは注目すべき点である.

 ここで,この機械的衝撃試験の詳細について説明する.ICカードの場合も含めて,人体やものに付着する素子は,強固なパッケージに封止された従来の素子よりも,過酷な機械的ストレスにさらされることが多い.これは,たいていの場合,付着する対象がプラスチックや紙などのように薄く,かつ財布の中に入れられるなど,生活のさまざまな場面でストレスを受ける機会があるためである.

 機械的強度試験にはざまざまな項目があるが,その中でも衝撃試験は厳しい試験であると考えられている.すなわち,図1(b)に示すように柔らかいシリコン・ゴムの上に薄型半導体チップの試験サンプルを置き,上から30gの重りを落下させて試験を行う.重りの先端の曲率半径に依存するが,チップが小さくなれば衝撃に強くなることが定量的によくわかる.

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〔図1〕強度の向上
ミューチップは,紙幣や商品券,株券などの有価証券に埋め込んで使用することを目標としており,機械的強度の確保を低コストで実現する必要がある.そのためには,チップ・サイズを小型化することが有効である.

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