0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる
●アンテナの接続には異方導電性フィルムを利用
本RFIDチップはCMOSの0.18μmプロセスで製造されている.技術概要を表1に示す.薄型化を図るため,アンテナとの接続にはACF(anisotropic conductive film;異方導電性フィルム)を利用している.ACFは非接触ICカードで多用されている技術で5),厚みを増やさずにアンテナと半導体チップを接続する用途に向いている.
ACFの基材は熱硬化性のエポキシ樹脂であり,この樹脂の中に直径10μm前後の導電性微粒子が分散している.これは常温ではフィルム状である.チップとアンテナの接合面にこのフィルムを挟み込み,加熱して圧力を加えると,樹脂がほぼ瞬間的に溶融する.溶融した樹脂の中には導電性粒子が含まれているため,接合面でチップ側の電極とアンテナ側の電極の間に導電性粒子が挟まれた状態になり,その後,樹脂の硬化が始まる.
接合面を上面から眺めると,導電性粒子は分散しているため,電極横方向の導通はない.一方,電極縦方向は導通状態になる.すなわち,ACFは異方導電性を持つ接着機能を備えているわけである.これは表面に複数の電極を持つチップをアンテナに接続する場合,とても有効と言える.
〔表1〕ミューチップの技術
物理的技術 | プロセス技術 | CMOSプロセス |
最小線幅 | 0.18μm | |
配線層数 | 3層 | |
アンテナ接続技術 | 異方導電性フィルム(ACF) | |
RFID仕様 | 搬送波周波数 | 2.45GHz |
入力インピーダンス | 60Ω | |
エネルギ供給法 | 電磁波エネルギ | |
電源用平滑コンデンサ | 100pF |
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