0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる

宇佐美光雄

tag: 組み込み 半導体 実装

技術解説 2003年6月27日

●インターネット技術を利用して足りない機能を補完

 セキュリティ技術と密接に結びつき,かつ微小なチップ・サイズを実現するためには,機能の適切な絞り込みが必要となる.従来のRFIDがスタンドアロン(単独)で使用されていたのに対して,本RFIDチップはネットワークとリンクして使用することを前提に開発している.

 図4に示すように,従来のRFIDの多くは書き込み型のメモリやふくそう制御機能(同じ電波エリアに複数のタグがあるとき,個別に認識する)を備えていた.一方,本RFIDの場合,ROMに128ビットのID番号を持っている.従来のRFIDチップが持っていた情報(属性データ)をネットワーク上のデータベースに持たせている.このため,メモリ書き込み制御回路などが削減される.また,小型化のため本RFIDチップの最初のバージョンではふくそう制御の機能を省く方針をとっている.

 本RFIDチップは紙の中に埋め込む必要があるため,機能の充実よりも小型化を優先せざるをえない.そして機能の不足分は,インターネットなどのネットワーク技術を利用して補う方針を採っている.RFIDチップ単体で見ると機能が少なく,使い勝手が良くないように思われるかもしれないが,ネットワークを含むシステム全体で必要な機能を実現していると考えていただきたい.ブロードバンド化の流れに乗ってパケット通信料金が低価格化していることを考えると,インターネットを利用して問題解決を図っている本RFIDチップは,時流に即した手法を採用していると言えよう.

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〔図4〕インターネットの利用を考慮した回路構成
RFID技術の分野では,半導体技術がもたらす高い付加価値を特徴とした各種半導体チップが開発されてきている.本RFIDチップは紙に組み込む必要があるため,チップ・サイズの制約を優先して設計した.不足する機能は,インターネットなどのネットワーク技術を活用して補っていく.

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