0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる

宇佐美光雄

tag: 組み込み 半導体 実装

技術解説 2003年6月27日

○● COLUMUN ●○
ミューチップは放射電磁波を,電子乗車券は誘導電磁波を利用

 「電子乗車券」としておなじみとなった鉄道改札口での自動認識技術の普及とともに,電磁波を利用した無線ICカードが身近なものとなってきた.携帯電話もまた無線技術の高度化,低価格化のたまものと言えるが,こちらは電池付きの装置である.一方,本稿で解説している無線ICタグは電池を搭載しないことが多い.

 半導体チップを駆動する電源としては,無線(電磁波エネルギ)そのものを使う.利用される電磁波には種類があって,表Aのように分類することができる.利用される搬送周波数によって,読み取り装置(リーダ)から送出される電磁波の種類が異なる.

 ミューチップで使われている電磁波は,「放射電磁波」と呼ばれているものである.これは読み取り装置からの距離の逆数に比例してエネルギ強度が減衰する電磁波で,比較的通信距離をとりやすい.一方,電子乗車券の場合,表面が人体にふれやすいため,水分の影響を比較的受けにくい「誘導電磁波」が利用されている.

 いずれの場合も電磁波は交流なので,そのままでは半導体チップを駆動する電源として使用できない.半導体チップの受信部には整流回路があり,交流電圧を直流電圧へ変換する.RFIDチップの性能はこの整流回路に依存するところが大きく,今後,この回路の特性の改善によって通信距離が延びるものと考えられている.

 アンテナのサイズについては,誘導電磁波よりも放射電磁波のほうがアンテナを小さくしやすい.無線ICタグのように大量に利用され,かつ対象物のサイズが多岐に渡る場合には,魅力的な特徴である.

〔表A〕利用される電磁波の種類

電磁波
の種類
利用される
搬送周波数
特  徴
ICタグ/カード
の主な用途
放射電磁波 2.45GHz
  • 距離の逆数で強度が減衰
  • アンテナが小さい
  • 水分の影響をやや受けやすい
物流管理,
入場券,
偽造防止,
ブランド管理
誘導電磁波 13.56MHz
  • 距離の2乗の逆数でエネルギ減衰
  • アンテナがやや大きい
  • 水分の影響を比較的受けにくい
電子乗車券,
電子マネー,
流通品管理,
入出管理
組み込みキャッチアップ

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