0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる

宇佐美光雄

tag: 組み込み 半導体 実装

技術解説 2003年6月27日

●電圧リミッタ回路がCMOSゲート破壊を防ぐ

 本RFIDチップは微細なCMOSプロセスを採用しているため,読み取り装置とRFIDチップの距離が近づいたときに発生する過大電源電圧への対策を施しておく必要がある.本RFIDチップの電圧リミッタ回路の特性を図7に示す.これは,RFIDチップ内部に強制的に電源電圧を印加して,100kHzのクロックで動作させたときの負荷電流の変化を示したものである.電源電圧が2.1Vを超えたあたりから急激に負荷電流が増大しており,過大な電源電圧が印加されないようになっていることがわかる.

 電磁波からエネルギを得るため,通常は大きな電圧がRFIDチップの内部で発生することはない.しかし,RFIDチップが読み取り装置に極めて接近すると,過エネルギ状態となり,発生する電源電圧がCMOSゲートの破壊電圧を突破する可能性がある.そのため,本RFIDチップは,2.3V程度の電源電圧が印加されるとクランプがかかる(適正な電圧を維持する)電圧リミッタ回路を内蔵しており,内部回路を保護している.ユビキタス応用では,大量の素子がさまざまな環境や条件で使用されるため,高信頼性設計が必要であり,その一例が電圧リミッタ回路である.

 なお,静電気に対する配慮も必要になる.RFIDチップにアンテナを接続したとき,RFIDチップの二つの端子は直流的に短絡した状態になる.そのため,十分に高い耐静電気特性を持たせている.

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〔図7〕電圧リミッタ回路の特性
本RFIDチップは電磁波によってエネルギを得るため,通常はチップ内部に大きな電圧が発生することはない.しかし,RFIDチップが読み取り装置に極めて接近すると,過エネルギ状態になり,発生した電圧がCMOSのゲート破壊電圧を突破してしまう可能性がある.このため,本RFIDチップは,2.3V程度でクランプがかかる電圧リミッタ回路を内蔵している.

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