0.4mm角RFIDチップ「ミューチップ」の設計技術 ――回路,アンテナ,実装,セキュリティ技術を組み合わせる
●多方面の技術をバランスよく組み合わせる
「紙との親和性を確保しながらコストを引き下げるため,チップ・サイズを極力小さくする」,これが本RFIDチップの開発方針であることを述べた.
これを実現するためには半導体回路技術,特にRF(高周波アナログ)回路技術が重要であると考えられがちである.確かに半導体回路技術は重要なのだが,これだけで微小サイズのRFIDチップを実現することはできない.ユビキタス用途のRFIDチップを実用化するためには,アンテナ技術や接続(実装)技術,セキュリティ技術(例えば,データベースのアクセス権の制限など)などを組み合わせることが重要である(図3).
アンテナ技術は選択する周波数や期待される性能によって要求仕様が大きく異なるため,目的によって採るべき手段が変わってくる.特にユビキタス用途では,目に見えないほど微小な形状が要求されるため,極力小さくて効率の良いアンテナが求められる.本RFIDチップにおいて,アンテナ技術は重要な位置を占めるものと考えている.例えば,応用分野に即した最適なアンテナ設計が求められる.
続いて重要なのが,アンテナとRFIDチップを接続する技術である.材料の面から見ると,小型化することは低コスト化につながり,有利と言える.ところが接続性の面から見ると,接点が小さく,実装・組み立て時の取り扱いが難しいといった問題がある.この接続技術を検討することが,ユビキタス用途の素子を開発するうえで大きなポイントとなり,また技術者としての腕の見せ所でもあると考えている.
〔図3〕ミューチップが必要とする技術
本RFIDチップを実現するために必要な技術は,半導体のRF(高周波アナログ)技術のみと考えられがちである.しかし実際には,アンテナ技術や接続技術,セキュリティ技術などと組み合わせる必要がある.
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