UMLを基礎から理解する ――UMLでできること,できないこと
UML(Unified Modeling Language)の入門的な解説というと,各種ダイヤグラムについて手取り足取り説明する場合が多い.しかし,この意味でのUML入門については,すでに多数の書籍が存在しているし,Webサイトで公開されているものもある.ここでは,世の中にあふれているUML情報に接する際に必要となる,UMLの位置付けや,ハードウェアにからむ今後の方向性について解説する. (筆者)
◎1.UMLとは何か
UML(Unified Modeling Language)は,意味付けされた表記法を持つ,モデリング用のビジュアル言語です.UMLを使用しない場合は,自然言語で書いた文書とソース・コードがソフトウェア開発の成果物になります.これに対して,UMLを使用した場合は,文書のほかに(あるいは文書に取って代わって)UMLで表現したモデルが成果物になります(図1).
UMLは,箱と線で構成される図でモデルを表現します.モデルはソフトウェア,ハードウェアのどちらにとっても重要になっています.「百聞は一見にしかず」と言いますが,一目でわかる図でソフトウェアやハードウェアを表現できるところが"売り"になります.現在は,ソフトウェアで使用され始めたところですが,ハードウェアの設計でも有効ではないかと言われています.
〔図1〕UMLの位置付け
通常のソフトウェア開発の成果物は,自然言語で書いた文書とソース・コードである.UMLを使用した場合,UMLで表現したモデルが成果物に加わる(あるいは,取って代わる).