UMLを基礎から理解する ――UMLでできること,できないこと

藤倉俊幸

tag: 組み込み 半導体

技術解説 2003年3月23日

◎2.プロファイルによってUMLを拡張する

 UMLの特徴は,拡張手段も定義されていることです.UMLを拡張することにより,モデルを単なるアーキテクチャの記述だけに使うのではなく,実際に動作させることもできます.具体的には,コード生成や実行形式ファイルの作成まで実現できます.

 UMLをこのような「実行可能なUML」とするために,各モデル作成ツール・メーカは,UMLで定義された拡張手段に従って独自の拡張を行っています.この拡張部分をプロファイルと呼びます.つまり,Rose RealTime(米国Rational Software社),Tau(スウェーデンTelelogic社),Rhapsody(米国i-Logix社),BridgePoint(米国Project Technology社)がそれぞれ独自のプロファイルを持っています.

 UML 2.0からは,標準のUMLに構造化クラスやポート,コネクタが含まれたので,各社のプロファイルの違いは少なくなりますが,それでも完全に同一になるわけではありません.例えば,リアルタイムOSが提供するマルチスレッド環境とUMLでモデル化されるアクティブ・オブジェクトとのマッピングのしかたなどは,各社がツールに伴って提供するフレームワーク注2で実現されますが,フレームワークの実現のしかたによってアクティブ・オブジェクトの意味付けも微妙に変わります.つまり,モデリングが影響を受けるので,完全に互換性のあるモデルを作ることはできないと思われます.したがって,実行可能なUMLを実現するための各社のプロファイルは,今後も複数存在し続けるでしょう.

 注2;フレームワークとは,ソフトウェアの構造の中で,あまり変化しない大きな構造(枠組み)のことを指す.フレームワークの中にコンポーネントを組み込んでアプリケーションを構築するような作りかたをすることが,再利用性の高いソフトウェアの実現につながる.ここでは,コンポーネントをアクティブ・オブジェクトで作った場合,そのアクティブ・オブジェクトを組み込んで動かすためのしくみのことを,フレームワークと呼んでいる.

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