UMLを基礎から理解する ――UMLでできること,できないこと
●UMLの可能性と限界
UMLでは,図からソース・コードを自動生成できるほどの厳密な意味付けが可能です.この結果,現在では実行可能なUML(Executable UML)などの展開が可能となりました.ただし,現状のUMLではまだ,生成したソース・コードが要求仕様に対して正しいかどうかを数学的に検証できるほど厳密ではありません.
また,UMLでGUI(graphical user interface)のレイアウトを設計できるかというと,難しいでしょう.さらに,制御工学でよく出てくる連続系のフィードバック・ループを設計できるかというと,やはり難しいでしょう.つまり,UMLは組み込みシステム開発のあらゆる局面で使えるわけではないのです.基本的には,ソース・コードとソース・コードの離散的な動きを抽象化して表現します.ただし,最近ではビジネス・モデリングと呼ぶ実世界の表現にも利用されています.この場合も,連続系は対象とせず,オブジェクト間の関係という離散系を対象にします.