UMLを基礎から理解する ――UMLでできること,できないこと
●概念的な記述をLSI設計に取り入れる
SystemCで設計したものをUML 2.0で描くと,図17のような感じになると思われます.クラス構造図(図17(b))が現状のSystemC(図17(a))との対応をよく取っていることがわかると思います.
このクラス構造図は,クラス図(図17(c))の中央下にあるSampleBusSystemクラスの内部構造を示したものです.このSampleBusSystemクラスが,LSIチップやボードに対応するクラスです.そのほかのクラスは,部品あるいはIPコアに対応します.ClockDeviceクラスは,クロック信号を受け取る部品のスーパ・クラスにあたります.このクラスは抽象的なもので,クラス構造図には現れません.クラス図ではこのような概念的な記述を行うことができます.このことは,システム・レベル設計にUMLを導入するメリットになると思います.クラス図を使用することで,ソフトウェアの場合と同様にハードウェアのデザイン・パターンも蓄積されていくのではないでしょうか.
〔図17〕SystemCとUMLのマッピング例
SystemCで設計したものをUML 2.0で描いた例.クラス構造図がSystemCとの対応をよく取っていることがわかる.また,クラス図では概念的な記述が可能なので,システム・レベル設計にメリットを与えるだろう.