SiPモジュールとは何か? ――「選択肢の一つ」から「必要不可欠な技術」へ

海野雅史

tag: 組み込み

技術解説 2002年10月 1日

 最近,複数のダイ・チップを一つのパッケージに封止するSiP(system in package)モジュールが注目を集めている.小型化が要求され,かつSOC(system on a chip)を開発しにくい,あるいはSOCを開発していては要求される納期に間に合わないような用途でSiPモジュールが使われ始めている.ここでは,SiPモジュールの概要とSOCとの比較について述べる.また,筆者ら(日立製作所)の取り組みを例に,SiPモジュールの今後の動向についても紹介する.  (編集部)

 現在,半導体業界では,製品開発の重要な指標の一つがプロセス技術の微細化であり,最新の製造プロセスを使うことで,LSIの小型化や高機能化,低消費電力化を実現しています.そして,半導体ビジネスの主流になっているのが,1チップにさまざまな機能を集積した「SOC(system on a chip)」です.

 しかしその一方で,製品サイクルの短期化や開発コストの低減といった近年の市場動向に対して,SOCでは対応しきれない局面が増えています.例えば,SOCの開発期間や開発費用が増大しており,新規のプロセス技術を開発するための投資も莫大な金額になってきています.

 このため,SOCを補完する存在として注目を集めているのが,多種多様なダイ・チップを単一のパッケージに封止する「SiP(system in package)」,あるいは「MCM(multi-chip module)」と呼ばれる手法です.この手法では,開発済みのダイ・チップをそのまま流用できるため,開発期間が短縮されたり,開発費用が抑えられたりします.

 また,SOCでは,製造プロセス上の問題から,大容量のフラッシュ・メモリやDRAMを集積することが困難です.一方,SiPでは,さまざまなタイプのメモリを容易に混載できます.例えば,CPUチップとメモリ・チップを一つのパッケージに封止すれば,二つのチップの間の高速バスの設計が(ボード上では)不要になります.

 このように,SOCを補完する形で注目されてきたSiPですが,最近の携帯型機器の市場では,SiPはなくてはならない存在になってきています.携帯型機器の基板は,部品の実装点数が増える一方で,実装面積は限界に近づいています.そこで,従来,基板上にバラバラに実装されていたチップをいくつか縦積みにしたスタック型SiPなどを使用することで,実装面積を抑える例が増えてきています.

 ここでは,SiPの特徴や実装技術について解説し,さらにSiPのテストの概要や熱設計についても説明します.また,後半では,実際の製品の事例を交えながら,筆者ら(日立製作所)のSiPに対する取り組みや,今後の動向について説明します.

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