SiPモジュールとは何か? ――「選択肢の一つ」から「必要不可欠な技術」へ
●ビデオ・カメラやディジタル・カメラがSiPを採用
最近の民生機器の製品サイクルは短くなる傾向にあります.半導体メーカでもこのサイクルに合わせて差異化した半導体や電子部品を開発することが課題となっています.特に,携帯電話やディジタル・ビデオ・カメラ,ディジタル・カメラなどの機器では,小型化・軽量化を実現する高密度実装技術が不可欠となっています.
これらの要求を実現する手段として,これまで,メモリ・プロセスとロジック・プロセスを混載したSOCなどが提案されてきました.しかし,SOCでは,論理検証やレイアウト設計などを一から行う必要があり,開発期間が長くなりがちです.また,最先端プロセスを採用することが多いため,半導体の歩留りが製造コストに大きく影響します.
筆者らは,SiPの技術を,こうした問題を解決するための手法と位置づけて,CPU(SHマイコン注)を中心として,フラッシュ・メモリ,ROM,DRAM,SRAMといったメモリを混載したSiP製品を開発しています.
図4に,ディジタル・ビデオ・カメラのシステム構成の例を示します.ディジタル・ビデオ・カメラは,システム制御用のマイコンとカメラ信号処理用のDSP(digital signal processor),JPEG(Joint Photographic Experts Group)やMPEG(Moving Picture Experts Group)などに対応した画像圧縮伸張LSI,画像データ保持用のSDRAM,システムのプログラム格納用のフラッシュ・メモリといったディジタル部,およびCDS(correlated double sampling;相関2重サンプリング)回路やA-Dコンバータなどのアナログ部で構成されています.
〔図4〕家庭用ディジタル・ビデオ・カメラのブロック図
一般的な家庭用ディジタル・ビデオ・カメラの構成例である.CPU,SDRAM,フラッシュ・メモリを,SiPの手法を用いて1パッケージ化する.