SiPモジュールとは何か? ――「選択肢の一つ」から「必要不可欠な技術」へ

海野雅史

tag: 組み込み

技術解説 2002年10月 1日

2)同時スイッチングとクロストークの問題

 CMOS素子の場合,"H"と"L"では,入力-出力間の電流の方向が逆になります.そして,各入力バッファを駆動するため,出力バッファの出力電流は最大に近い値となります.これらの入力電流は,電源より供給されています.また,LSIの高集積化に伴って,インターポーザ上の信号交差数が増加しています.動作においても,クロック・サイクルに応じたゲートのONとOFFが繰り返されています.

 例えば,複数の信号が同時に"H"から"L"に切り替わった場合,LSIとLSIの配線間のインダクタンス成分により電圧降下が生じます.この電圧降下は,同時に状態が切り替わった信号ピンの数に比例します.この電圧降下によって引き起こされるノイズが,いわゆる同時スイッチング・ノイズです.SiPの場合,一つのインターポーザで配線が閉じているため,配線長が短くなっています.このため,同時スイッチング・ノイズの問題はそれほど発生しません.

 信号のスイッチングが生じない配線でも,隣接配線の電磁的影響によってクロストーク・ノイズが発生します.しかし,SiPは配線長が短いため,クロストークの影響を受けにくいという特徴があります.つまり,スタック型SiPは,ノイズ耐性に有効なパッケージ構造の一つと言えます.図9に同時スイッチング・ノイズの評価結果を示します.

f09_01.gif
〔図9〕同時スイッチング時のノイズ波形
SDRAMのすべてのI/O信号を"H"から"L"に変化させたときのノイズ波形を示した.シングル・パッケージの場合と比べると,ノイズが約70%低減している.

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