SiPモジュールとは何か? ――「選択肢の一つ」から「必要不可欠な技術」へ
●従来のLSIと同等の信頼性を確保するための技術
図10にSiPのテスト・フローを示します.以前のSiPのテストに対する考えかたは,「組み立て後の不良を避けるため,チップ単体の品質を保証する」というものでした.チップ単体で品質を保証するため,ウェハ・バーン・イン・テストやチップ・バーン・イン・テストによるKGD(known good die;品質保証済みのダイ・チップ)化を行っていました.しかし,KGD化するためには,テスト設備のインフラの構築,KGDインターポーザや専用ソケットなどの開発が必要になります.そのため,シングル・パッケージを利用する場合と比較して,製造コストが上昇する傾向にありました.
また,最新の民生機器では,最先端プロセスを採用したチップを組み込んだSiPが要求されています.しかし,最先端プロセスのチップは,電源信号などのパッド・ピッチが狭いため,KGD用インターポーザにも狭ピッチ対応が要求されます.開発期間が増大したり,コストを上昇させてしまう要因となります.KGD化の考えかたは7~8年前から提唱されていますが,この考えかたは現在の主流とはなっていません.
筆者らは,SiPに搭載する各LSIを非KGD品でも採用できるように,内部のテストをくふうしています.このテスト・フローにより,通
常のLSIと同等の品質と信頼性を保証したSiPを提供できています.
〔図10〕SiPのテスト工程
良品検査を通った各LSIは,組み立て,選別テスト,外観検査が行われてから出荷される.