SiPモジュールとは何か? ――「選択肢の一つ」から「必要不可欠な技術」へ
●SiP vs. SOC
図1に,SiPとSOCの特徴を比較しました.図2には,開発期間と開発費の比較を示します.
1)さまざまな種類のチップと大容量メモリを混載できる
製造プロセス上の問題から,SOCに搭載できるメモリの容量には上限があります.SiPの場合,製造済みのダイ・チップをそのまま利用するため,さまざまな種類の大容量メモリを混載できます.
また,SOCのような大規模なLSIをSiPの中に取り込むこともできます.この場合,例えば追加機能のチップを混載することで,SOCの機能を簡単にバージョン・アップすることができます.
2)5~6週間でサンプル品を製作できる
昨今の市場では,製品を市場に投入するスピードがシェア獲得の成否を大きく左右しています.製造済みのチップをそのまま利用する場合,SiPの仕様決定からサンプル提出までの期間は5~6週間程度です(日立製作所の例).SOCの手法と比べて,開発期間を大幅に短縮できます.また,開発費用もSOCの場合の約1/3~1/4に抑えることができます.
〔図1〕 SOCとSiPの比較
SiPは,SOCと比べて開発コストが低く,開発期間も短縮できる.また,大容量のメモリを搭載できるなどの特徴がある.
〔図2〕 SOCとSiPの開発期間と開発費の比較
SiPの開発期間(仕様決定からサンプル完成まで)は約5~6週間である.また,実績のあるチップを利用する場合には,新規のチップの開発費が不要となる.つまりSOCと比べて,開発費を抑えることができる.