SiPモジュールとは何か? ――「選択肢の一つ」から「必要不可欠な技術」へ

海野雅史

tag: 組み込み

技術解説 2002年10月 1日

2)実装技術と組み立ての課題

 スタック型SiPには,前述のようにワイヤ・ボンディングどうしの積層実装と,フリップチップとワイヤ・ボンディングの積層実装があります.ワイヤ・ボンディング実装の部分については,チップの積層構造やパッケージ高さの制限を考慮することと,低ループのワイヤ形成が重要となります.一方,フリップチップ実装の部分については,熱の影響によってインターポーザとチップの熱膨張係数差を緩和するため,アンダ・フィル(チップとプリント配線基板の間に充てんする絶縁性の樹脂)や導電性接着剤などで樹脂封止する必要があります.

 スタック型SiPをシングル・パッケージと同じサイズに納めるためには,アンダ・フィル樹脂などのはみ出しを考慮して,チップとボンディング・パッドの最適な配置を見つける必要があります.例えば,インターポーザ上に並べて配置した二つのフリップチップの間のギャップ(間隔)が大きい場合,それらのチップの間の封止樹脂がチップを引き付けるため,その上段に積層したチップとの間にすき間が生じます.このすき間は,吸湿後のリフロにより,界面はく離などの不ぐあいの原因になります.

 このような課題については,できるだけチップとチップの間隔を近づけ,下段に配置したチップの裏面の高さにそろえるくふうが必要です.表3に,チップ間の距離を変えた場合の耐リフロ性試験後の超音波探傷の結果を示します.スタック型のSiPでフリップチップを下段に配置した場合,最初からすき間が生じています.この状態で吸湿させてリフロ試験を行うと,すき間の部分を起点として界面はく離が加速して,断線してしまいます.ワイヤが長くなると,モールド時に,ワイヤの流れなどによるショート(短絡)や断線が発生します.このためスタック型SiPでは,ワイヤ長が最短になるようなパッド配置の検討を行う必要があります.

3)インターポーザ技術

 SiPは複数のチップを搭載しているため,シングル・パッケージの場合と比較して,インターポーザの配線密度が高くなります.インターポーザには,配線を微細化しやすいビルドアップ基板や,IVH(inner via hole)技術を採用したガラス・エポキシ基板が利用されています.

〔表3〕超音波探傷の結果
フリップチップ実装で接続した二つのLSIの間隔を変えた.組み立て直後の観察例(リフロ試験前)と,吸湿させ,熱処理した後のはく離進展の結果(リフロ試験後)を示している.吸湿と熱処理は3回ずつ行った.LSIの間隔が広い場合,組み立て直後からすき間が生じ,リフロ試験後には界面はく離による断線が起こっている.

LSI間の距離が狭い場合
LSI間の距離が広い場合
リフロ試験前
リフロ試験後
組み込みキャッチアップ

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