480Mbpsでデータを転送するUSB2.0のプリント基板設計 ――In-System Design社が示す設計ガイドライン
●設計の第一歩はLSIの選定
USB2.0の規定を満たす製品を設計する第一のポイントはLSIの選択にあります.優れた特性を持ったLSIを選べば,プリント基板の設計や後の検証がすいぶんと楽になります.しかし,もし性能の悪いLSIを選んでしまったら,プリント基板やほかの部品にどんなにくふうをこらしても,評価テストをクリアできないかもしれません.すでにUSB-IFの評価を経て認定を受けたLSIを必ず選びたいものです.あるいはそれ以上に厳しいテストをパスし,ほかの製品にもよく使われているLSIを選んだほうがよいでしょう.例えば,ストレージ用LSIの分野では,筆者ら(米国In-System Design社)が開発したISD-300Aが市場に大量に出荷されています.これは,Mass Storage Class規格に準拠しており,市販されているほとんどのATA/ATAPI機器と相性が良いという特徴があります(図5).また,専用LSIではなく米国Cypress Semiconductor社のFX2のような汎用マイコン・ベースのUSBコントローラを使う方法があります.ファームウェアを書き換えることによって幅広い応用に対応できます.
使用するLSIが決まったら,プリント基板の設計に入ります.最初の作業は機構部品の位置を決めることです.例えばストレージ機器の場合,USBコネクタ,ATAコネクタ,電源コネクタを配置しなければならないでしょう.電源の出力,音声入出力,LEDなどの配置を考慮する必要がある場合もあります.
〔図5〕In-System Design社のISD-300を搭載したUSB2.0-ATA/ATAPIブリッジ・プリント基板
ISD-319はUSB2.0-ATA/ATAPIブリッジ・プリント基板である.この製品は,ISD-300A/A1をベースにしたもので,ストレージ装置に水平実装されるように設計されている.ISD-319は,40ピンのリボン・ケーブルを介してATA/ATAPIデバイスと接続する.電源はJ1ピン・ヘッダに供給される.また,J4ヘッダは表示用LED駆動素子に用いられる.