スマホ感覚で操作できるオシロスコープや5cm角のインテリジェント・カメラ開発セットがお目見え ―― Embedded Technology 2012
2012年11月14日～16日，パシフィコ横浜（横浜市西区）にて，組み込みシステム技術に関する技術展示会＆カンファレンス「Embedded Technology 2012」が開催された（写真1）．本展示会では「スマート・エネルギー」，「オートモティブ/交通システム」，「ロボティクス」，「モバイル/クラウド」，「スマート・ヘルスケア」，「スマート・アグリ」という六つの応用分野をテーマとして設定し，関連したカンファレンスなどを行った．407の企業および団体が出展し，28,419人が来場した（3日間の合計人数）．主催は一般社団法人 組込みシステム技術協会（JASA）．また，一般社団法人 電子情報技術産業協会（JEITA）が，半導体設計に関する展示会「Electronic Design Solution Fair 2012（EDSFair 2012）」を同時開催した．
写真1 オープニング・セレモニーの様子
●タッチパネル対応オシロスコープをスマートフォンのように操作
アジレント・テクノロジーは，12.1インチの静電容量式タッチ・パネルを搭載したオシロスコープ「InfiniiVision DSO/MSO 4000Xシリーズ」を展示した（写真2）．目的の信号の周囲に四角形を描くことで，その信号にトリガをかけられる「InfiniiScanゾーン・タッチ・トリガ機能」を備える．更新レートは最大1,000,000波形/s．セグメント・メモリを標準装備しており，バースト信号など間欠的な信号を長時間観測する場合などにメモリを節約できる．同シリーズとして，帯域幅200MHz～1.5GHzのMSO（Mixed Signal Oscilloscope）モデルとDSO（Digital Storage Oscilloscope）モデル，全16機種を用意する．
写真2 アジレント・テクノロジーの「InfiniiVision DSO/MSO 4000Xシリーズ」
●5cm角のCPUボードとCMOSカメラ・モジュールが一体化
アットマークテクノは，CMOSカメラ・モジュール（シキノハイテック製）とARM Cortex-A9プロセッサ（ルネサス R-Mobile A1，792MHz）搭載のCPUボード「Armadillo-810」を組み合わせて展示した（写真3）．撮影画像をリアルタイムに解析したり，データ処理などを行ったりするインテリジェント・カメラの開発に向く．外形寸法は，CPUボード本体，CMOSカメラ・モジュールともに50mm×50mm．使用温度範囲は－20℃～＋70℃に対応している．
写真3 アットマークテクノの「Armadillo-810」とCMOSカメラ・モジュール
CPUボード本体とCMOSカメラ・モジュール，拡張ボードを3層にドッキングした「Armadillo-810カメラモデル開発セット」には，沖電気工業の顔認識ミドルウェア「FSE（Face Sensing Engine）」をベースにしたアプリケーション・ソフトウェアが付属しており，顔検出や特徴点抽出，個人識別などの機能を試すことができる．また，H.264やJPEGなどの動画・静止画の圧縮を行うミドルウェアも付属する．本開発セットの提供は2013年1月からを予定している．
●第3世代Intelプロセッサ搭載の組み込み向け小型CPUボードを展示
イノテックは，第3世代Intel Core i7/i5/i3およびCeleronプロセッサを搭載した，小型の組み込み向けCPUボード「IX-5030」を展示した（写真4）．外形寸法は145mm×140mmと，Mini-ITX規格よりも小型である．ワイドレンジの12V（＋9.0～＋19.2V）単一電源で動作し，外部機器に12Vと5Vの電源供給が可能．USB 3.0/2.0/1.1やRS-232-C，RS-422/485，GPIO，ギガビットEthernetなどのインターフェースおよびPCI Expressのスロットを備えている．OSはWindows，Linuxのほか，VxWorksなどのリアルタイムOSにも対応している．
写真4 イノテックの「IX-5030」と「EMBOX TypeC30」
同社は，「IX-5030」を内蔵した組み込み向けパソコン「EMBOX TypeC30」も展示した．こちらはフルHD（1,920ピクセル×1,080ピクセル）表示に対応し，瞬停時の自動再スタート機能やウォッチドッグ・タイマ，ハードウェア・モニタのRAS（Reliability, Availability, and Serviceability）機能などを搭載している．
