480Mbpsでデータを転送するUSB2.0のプリント基板設計 ――In-System Design社が示す設計ガイドライン
●設計とロゴ認証はさらに厳しくなった
USBケーブルは,ホスト(ハブ)と周辺機器(スレーブ)を接続するため,五つの電気信号を供給します.それはVBUS,GND,D+,D-,シールドです.D+とD-は差動型のデータ信号線ですが,完全な差動型ではありません.フルスピードで転送したとき,パケットの最後を示すEOP(end-of-packet)などでは,両方ともLになることもあります.VBUSは電源ラインであり,最大500mAの電流を電圧+5Vで供給できます.しかし,ホストに許可されるまでは,周辺機器の消費電流を100mA以下に抑えなければなりません.GNDはD+とD-のリファレンス電圧であり,またVBUSに対する接地ラインでもあります.シールドはケーブルやコネクタの周りにある金属です.これは電磁妨害や静電気放電などによるノイズに対する対策になります.
USB製品のプリント基板やその製品に使われる部品は,USB信号の特性を大きく左右します.特に上記の電気的な接続を正しく行い,D+とD-に適切なターミネーションを施す必要があります.
USB2.0の規格が策定されたころ,USBに対する法的な動きもありました.USBの規格や認定を管理する機関であるUSB-IF(USB Implementers Forum)は法人となり,USBの製品を開発する企業に対する権限がさらに強くなりました.新しいロゴが作成され,USB規格の使用に対するライセンス契約を結ぶことも必要になりました.
多数の会社が販売するホスト,ハブ,周辺機器をつないだ場合に,互いにうまく通信できることを保証するのは以前も難しかったのですが,データ転送速度が40倍になったことでさらに保証が困難になりました.USB規格に準拠し,かつロゴ認定のための評価テストをクリアしなければ,製品を販売する権利が与えられないという条件もライセンス契約に取り入れられました.ロゴ認定の評価テストでは,ある製品が電気的動作や機械的動作,プロトコルについてUSB規格に合っているかどうかを確認します.この評価はUSB-IF主催のCompatibility Workshop(いわゆるプラグ・フェスタ)やUSB-IFから認定を受けた第三者の企業で行われます.