大容量ストレージを使いやすくするUSB 3.0 ――使い慣れたUSBの転送速度が5Gbpsに向上
2.USB 3.0仕様の概要
USB 3.0はUSB 2.0との下位互換を維持することを念頭に置いて設計されています.開発に携わるエンジニアができるだけ容易にUSB 3.0対応製品の設計を進められるように考えられています.USB 3.0の特徴は次のとおりです.
- USB 2.0の10倍のデータ転送速度
- USB 2.0との下位互換
- 同一USBデバイス・モデル
- 省電力効果
- 拡張性
データ転送速度を10倍向上させるため,物理層を現状のものから変更しています.そこについてはPCI ExpressやSerial ATAに採用されている高速シリアル・インターフェース技術を流用しています.省電力効果についてはPCI Expressなどですでに対応している方式を利用します.いよいよUSBにも,今までにないきめ細かな省電力管理が実施されるようになります.表1にUSB 2.0とUSB 3.0の違いを示します.
符号化方式にPCI ExpressやSerial ATA,Fibre Channelなどでおなじみの8B10B符号化方式を採用しました.また,拡散スペクトラム・クロッキング(SSC)注2という技法も採用しており,これにより各デバイスがローカルでもつ発振器から放射される電磁不要輻射レベルをFCC(米国連邦通信委員会)が規定するレベル以下に抑えています.
注2;拡散スペクトラム・クロッキングについては,http://zone.ni.com/devzone/cda/tut/p/id/4154を参照.
また,昨今,環境問題が焦点になっていることや携帯機器もターゲットとしていることから,省電力機能が搭載されました.
表1 USB 2.0とUSB 3.0の比較