大容量ストレージを使いやすくするUSB 3.0 ――使い慣れたUSBの転送速度が5Gbpsに向上

石井 潤一郎

ここではUSB 3.0の概要について紹介する.USBインターフェースは,パソコンだけでなく組み込み用途でも広く利用されている.480MbpsのHighSpeed USB(USB 2.0)から5GbpsのSuperSpeed USB(USB 3.0)へパワーアップすることで,USB規格普及の可能性はさらに拡大する.まずは映像データなどを蓄積する大容量ストレージの市場を狙う. (編集部)

 ついに正式発表が行われました.

 2008年11月17日(米国時間)に,USB 3.0の仕様書が誰でも自由に入手できるようになりました.2007年9月に開催されたIDF(Intel Developer Forum)にて告知されてから耳にするようになった「USB 3.0」ですが,この新しい高速シリアル伝送技術が具体的にエンジニアたちの目に見えるようになったわけです.使用に際してロイヤリティを必要としない現行のUSB規格の延長線上に位置する「USB 3.0」は,いまここに始動しました.

1.USB 3.0とは何か

 読者の皆さんがこの記事を読まれるころには第1回のUSB 3.0開発者向け会議も終了しており,参加したエンジニアの方々はすでに同等の情報を入手されていることと思います.本稿を執筆するにあたり,その開発者向け会議にて入手した資料を参考にさせていただきました.本稿がUSB 3.0開発者向け会議に参加できなかったエンジニアの方々やUSB 3.0に興味をもっている方々へ少しでも参考情報を提供できれば幸いです.

● 過去に例のない希有なインターフェース"USB"

 蛇足になりますが,あえて「USBとは何か?」という質問に対して回答してみましょう.USBとはUniversal Serial Bus(USB)の略称で,Intel社など,複数の企業が共同で策定した伝送方式の仕様です.USBは「高速な伝送」と「パソコンへの周辺機器の容易な接続」を実現します.周辺機器をパソコンに接続すると,自動的にすべての必要なハードウェアおよびソフトウェアの設定が行われます.

 このようにUSBは,かつてパソコンに搭載されていた数々の異なる外部インターフェースを置き換えることができ,誰でも簡単に,かつ高速に通信を行えるようにすることを目的に開発されたシリアル・インターフェースです.この「easy-to-use」であり「Plug & Play」であるシリアル・インターフェースは1995年に産声をあげ,約13年経過した今もなお普及し続けている,おそらく過去に例のない稀有なインターフェースなのです.パソコンやコンピュータ周辺機器の外部インターフェースとして,組み込み機器の外部インターフェースとして,また単純な電力供給用のポートとして,今日では「USB」という単語を知らない人のほうが少ないのではないでしょうか.

 USBの黎明期からそのプロトコル解析用開発支援ツールのサポートに携わっている筆者からすると,このことはまさに驚きの一言です.パソコン・ショップの片隅に申しわけ程度のコーナが作られ,展示される対応商品も少なく,ほこりをかぶって誰も見向きもしなかったあのころ,「本当にUSBは普及するのだろうか」とショップの中を歩き回りながら心配したものです.今なら,当時の心配事は取り越し苦労だったのだなぁ,と思うことができます.

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