携帯型機器向け電源ICの低消費電力技術 ――携帯型機器とともに歩むLDO電圧レギュレータ技術の軌跡
図4 ECO機能付きLDOの分類
筆者らは3種類のECO機能付きLDOを出荷している.
このように,現在,筆者らは,外部制御信号で切り替える「(ECO)端子切り替え」,自動の「シームレス切り替え」,「電流しきい値切り替え」という3種類のECO機能付きLDOを出荷しています(図4).ここで,三つの方式が三つとも生き残っているのはなぜだろう,と思われるかもしれません.各方式には,それぞれメリットとデメリットがあります.それは非常に細かい部分の違いによるもので,システム設計者(ユーザ)は必要に応じて適切なものを選択しています.表1にそれぞれのメリットとデメリットをまとめます.
メリット | デメリット | ||
端子切り替え | 低消費電力モードのときは,ほかの方式より自己消費電力を減らせる.応答特性の良いモードとそうでないモードがはっきりと分かれているため,機器の動作時の電源特性による誤作動のリスクがきわめて少ない | 端子による制御が必要 | |
自動切り替え | シームレス切り替え | 端子による制御が不要 | シームレス動作のためにつねに稼働させておく回路があるため,低消費電力モードのときの自己消費電力は,端子切り替えタイプほど小さくできない |
電流しきい値切り替え | 端子による制御が不要 | 電流しきい値をまたぐ負荷過渡応答については,あまり改善できない |
表1 各方式のメリットとデメリット