携帯型機器向け電源ICの低消費電力技術 ――携帯型機器とともに歩むLDO電圧レギュレータ技術の軌跡
● 外部制御信号による切り替えでスリープ・モードに対応
「なんとかこの問題を一つの電源ICでクリアできないものか?」との発想から生まれたのが,"ECO"と呼ばれる機能です.これは,単純に言うと,一つのICチップ上に図1の構成をまるごと取り込んでしまえばよい,という考えかたです.ただし,IC化する際には面積的な制約があるため,以下で述べる方法をとりました.
図2(a)が電源ICの一般的なブロック図です.これに対しECO機能を取り込んだブロック図は図2(b)のようになります(いずれも概念図).2種類の特性を実現するため,高速応答用と低消費電流用の2種類のアンプを搭載し,外部の制御信号によって動作するアンプを切り替えることにしました.ほかの回路部分は切り替える必要がないので,共有化しています.
図2 電圧レギュレータ(概念図)
ECO機能付き電圧レギュレータは,(b)のように高速応答用と低消費電流用の2種類のアンプを搭載し,外部信号により動作するアンプを切り替えている.ほかの回路部分は切り替える必要がないので,共有化している.
このようにして,第1世代のECO機能付きLDOが出荷されました.ある時期には,一つの携帯電話の中に何個もこのECO機能付きLDOが採用されていたことがありました.外部信号によってECO機能を切り替えることで低消費電力化を図る,というこの方法は,現在でも引き続きユーザによって採用されています.