携帯型機器向け電源ICの低消費電力技術 ――携帯型機器とともに歩むLDO電圧レギュレータ技術の軌跡

池田亜紀,小林貴司

tag: 組み込み

技術解説 2006年11月21日

 話をわかりやすくするために,携帯電話の例を考えてみましょう.ただ持ち歩いているだけで,メイン・デバイスがアクティブに動作しているとは言えない状態,いわゆる待ち受け時は,メイン・デバイスの消費電力は非常に小さくなります.それなのに,自己消費電力の大きいLDOを使うということは,そのときの消費電力に占める無効電力の割合を上昇させることになり,待ち受け時間を延ばすことに対する妨げになりかねません.CPUと関連するメモリも,書き込み・読み出しのとき以外は,消費電流は大きくありません.メモリにアクセスしていないときは,LDOなどで貴重な電力を消費したくないでしょう.また,通信ブロックも電源が入っていると待機状態になりますが,通話や通信のないときの電源ブロックでは1μAたりとも消費したくないのが実情だと思います.このため,以前から,「いかにしてこの電源部分の低消費電力化を実現するか」ということが重要な課題となっています.

 かなり以前の話になりますが,かつてLDOといえば,バイポーラまたはバイポーラCMOS(Bi-CMOS)のプロセスで作られたデバイスがほとんどでした.このため,特性は申し分ないものの,自己消費電力が比較的大きい,という問題を抱えていました.

 筆者ら(リコー)は,CMOSプロセスによる電源ICの開発を行っており,低消費電力化を最大の目標としてきました.かつては,CMOSプロセスで作られた電源ICは応答性などで劣ると言われていました.そこで,携帯型機器に要求される低消費電力を実現するため,筆者らは過渡応答特性に優れたCMOS
LDOデバイスの開発に取り組み,成果を上げてきました.CMOS LDOの製品化により,携帯型機器の低消費電力化に貢献できたのですが,近年,機器の機能が複雑になってきたことや,メイン・デバイスの低電圧化により,新たな課題が生まれてきています.

 以下では,筆者らが取り組んできたCMOS LDOの課題とその対策について述べます.

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