携帯型機器向け電源ICの低消費電力技術 ――携帯型機器とともに歩むLDO電圧レギュレータ技術の軌跡
一つ目は,図1のように2種類の電源IC(LDOと電圧レギュレータ)を並列に配置し,それぞれをONモード用電源,スリープ用電源として切り替えて使用する方法です.二つ目は,ONもしくはスリープのどちらかのモードに合わせて(ON時の特性に合わせるケースがほとんど)電源ICを選択するという方法です.一般には,この2通りのどちらか一方を選択して対応しています.
図1 電源ICの並列接続回路
後段のメイン・デバイスのモードによって使用する電源を選択し,切り替えて使用する.
ただし,一つ目の場合,二つの電源ICを使用するために実装面積が大きくなり,コストも高くなってしまいます.価格競争が厳しく,小型化を追求する携帯型機器にとっては,大きなマイナス要因となってしまいます.二つ目の場合は,ON状態とスリープ状態の時間的な長さを比べ,相対的にスリープ状態が長い場合には,それだけむだな電力を消費していることになります.これは,低消費電力設計の観点から,マイナス要因となってしまいます.