メカトロ・システム機器の進化には分散処理が欠かせない ――ロボットに学ぶ分散処理の基本概念と課題

羅 志偉,平野慎也

tag: 組み込み

技術解説 2006年5月11日

 具体的に,これまで工場で働いている産業用ロボットと,街や家庭などの生活環境または災害救助活動において想定されるロボットの間には以下の違いが挙げられます.

1) 情報量の違い

 工場は動作環境がよく整備されていますが,家庭などにおける生活環境はたいへん複雑で,かつ,時々刻々と変動しています.こうした環境変動を把握するために,ロボットは視覚,聴覚,触覚などの機能を備えて,環境に関する大量の情報を実時間で処理する必要があります.

2) 自由度の違い

 産業用ロボットは設計の段階で限られた作業しか前提としていません.つまり,最小限の運動自由度(関節)を装備するようにできています.家庭用や災害救助用のロボットは,環境の変動に対応できるように,また,多様な作業を実行できるように,より多くの運動自由度を備える必要があります.

3) 知能の違い

 産業用ロボットの動作は,基本的に現場の技術者が当日の作業内容に応じてティーチング・ボックスなどを使って一つ一つきめ細かく教示します.一般環境で活動するロボットは,人間による手軽な音声指令などで環境条件に応じて自律的に動作を決定しなければなりません.

4) 安全性の違い

 産業用ロボットは安全確保のため,人間から1m以上離れたところでしか作業することがないように厳しく規制されています.家庭用や災害救助用のロボットはむしろ,人間と綿密に接触しながら安全かつ柔軟に作業することが要求されています.

 本稿は,こうしたロボットに対する要件を意識しながら,そのキー・テクノロジの一つである「分散処理」技術について概説します.また,現在の研究開発事例をいくつか紹介して,今後の課題について解説します.

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