メカトロ・システム機器の進化には分散処理が欠かせない ――ロボットに学ぶ分散処理の基本概念と課題

羅 志偉,平野慎也

tag: 組み込み

技術解説 2006年5月11日

 具体的な分散処理の構造については,制御対象となるハードウェアとそれを制御するコンピュータ,実際に動作するタイミングを与えるサーバにおけるスレッドをまとめて一つのソフトウェア・モジュールとして完結しています.例えば,図6の点線で囲んだ部分がアーム制御モジュールに相当します.独立したコンピュータとサーバのスレッドによって分散制御を行うことで,各コンピュータの計算負荷を軽減させ,モジュールごとに取り替え可能なシステムを作ることができます.また,すべてを監視するスーパーバイザが各モジュールに命令を出すトップダウン的な制御ではなく,各モジュールがロボットの内部状態によって分散的に動作を決めるボトムアップ的な制御ができます.

 サーバでは,各ハードウェアを制御するスレッド以外に,時間がたつとランダムにロボットの内部状態を遷移させるスレッドを立ち上げており,それをランダム状態遷移モジュールとしています.

 実装の観点からロボットの自律化を見れば,このロボットの制御に使う9台のパソコンはロボット本体と完全に分離した形で構成されています.まだまだ自律化されたとは言えませんが,最近,筆者らは制御システムの小型化を図り,ロボット本体内に分散配置できるようになりました.

 このロボットのタスク実行において,音声認識による会話の中の単語認識や,画像処理によるボールの色の識別処理結果などは記号として表現されますが,腕や指または頭を動かす処理は連続時間信号による動力学制御になります.したがって,全体を管理するサーバから見れば離散的な記号と連続時間信号を両方同時に扱ってロボットのタスク・スケジューリングを行わなければなりません.これは前にも述べたとおり,たいへん難しい問題です.

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