アーキテクチャの視点でみたARMコアの変遷と動向 ――LSI設計者は「ファミリ」に,ソフト開発者は「アーキテクチャ」に注目
● 「ファミリ」は設計のベースにしているコアを示す
まずは,ARMにおける「アーキテクチャ」と「ファミリ」について説明します(図3).
いわゆるARM7,ARM9といった各グループを,ARM社では「ファミリ」と呼んでいます.ARM社の公式見解ではありませんし,一部例外もあるのですが,ざっくりと言ってしまえば,「ファミリ」は設計のベースにしているコア・プロセッサ(CPUコア)の違いで区別されます.基本性能とプロセッサの規模の目安になります.プロセッサ・パイプラインの段数は,数字の多いほうがより長くなります.より高速に動作できる代わりに,回路規模は大きくなると考えて,ほぼまちがいありません.LSI設計者にとっては,後述するアーキテクチャよりも,ファミリの概念のほうが重要でしょう.
図3 ファミリとアーキテクチャの関係
同じファミリでも異なるアーキテクチャ(命令セット)を持つものが存在している.