アーキテクチャの視点でみたARMコアの変遷と動向 ――LSI設計者は「ファミリ」に,ソフト開発者は「アーキテクチャ」に注目

M.P.I

tag: 組み込み

技術解説 2006年4月17日

●○● Column ●○●
ARM7前史

 ARMというプロセッサは,ARM社という会社ができる以前から存在していました.その開発は1980年代前半の英国Acorn Computers社に行き着きます.ほかのCPUアーキテクチャの源流と同じように,それはデータ処理のためのCPUとしての出発であったようです.

 実際,Acorn社がARMベースのコンピュータを世に出したのは1980年代の中盤でした.当時,パソコンでもワークステーションでも,すでにほかのCPUアーキテクチャが市場を独占していたことはご存じのとおりです.そのままであれば,ARMプロセッサの発展は英国の片隅で終わっていたことでしょう.

 ARMプロセッサにとって幸運だったのは,米国Apple Computer社が新概念の携帯型端末"PDA(Personal Digital Assistants)"として登場させた「Newton」のCPUにARMプロセッサを採用し,そのためにAcorn社とは別のARM社というCPU開発専業会社が設立されたことです.さらに幸運なことにARM社は,最初から設計中心のファブレスIPベンダとしてスタートできました.Acorn社,Apple社に続く第3の出資者は,今はなくなってしまった米国VLSI Technologies社であり,チップはそこで製造されることになっていたのです.

 この1990年代初頭~中盤の段階で,ようやく業界内でARM6,そしてARM7という名のプロセッサが認知され始めました.これが世間に広く知られた最初のARMプロセッサでした.しかしARMは,このときすぐに成功を収めたわけではありません.Newtonを始め,この世代のほかの応用は軒並み立ち上げに失敗してしまいました.

 この苦境を救い,ARMプロセッサを今日の強力なポジションに導いたのは,超ベストセラーとなったARM7TDMIと,それをベースバンド処理のエンジンに採用した欧州の携帯電話メーカでした.そして欧州の携帯電話が世界市場で伸びるに従って,ARMプロセッサは携帯電話を中心とする組み込み応用の世界を制覇していったのです.

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