つながるワイヤレス通信機器の開発手法(8) ――アーキテクチャ設計を行う

太田博之

tag: 組み込み

技術解説 2003年9月30日

2.パッケージの検討

 ここまでプロセッサを中心に,ソフトウェアとハードウェアの切り分けなどにも触れながら説明してきた.次にアーキテクチャや小型化・軽量化を左右する部品のパッケージについて説明する.

 部品のパッケージ,特にLSIの場合は通常1パッケージに一つのLSIであるが,マルチチップ・モジュール(MCM:multichip module)の場合は事情が異なる.複数のLSIを一つのパッケージに入れることで以下のようなメリットが生じる.

  • LSI間の配線が短くなるので動作速度が向上する
  • 縦方向に積み上げる(スタックする)ことで実装面積が小さくなる
  • トータルの部品点数が減るので,不良(はんだ付け不良など)が減る
  • コスト・メリットが出る

 それぞれわかりやすい理由とメリットであるが,最後のコスト・メリットについてもう少し説明する.

 ASIC(特定用途向けカスタムIC)を作る場合,まわりの部品を取り込めばマルチチップ・モジュールを使うまでもなく安価な部品を作ることができる.しかし,例えばメモリをLSIに集積しようとすると,プロセスが異なるため工程(マスク)が増えて割高になる.また,カスタム品よりも汎用品のメモリのほうがはるかに安い場合がある.このようなときは無理に1チップ化するのではなく,ASIC(メモリ部分を除いたもの)+汎用メモリのウェハをマルチチップ・モジュールとしたほうが,製造コストを抑えることができる(図7)

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〔図7〕マルチチップ・モジュールの利点
製造プロセスが異なるメモリなどは無理に1 チップ化せず,メモリ部分を除いたASICとのマルチチップ・モジュールとしたほうが,製造コストが安くなる.

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