つながるワイヤレス通信機器の開発手法(8) ――アーキテクチャ設計を行う
○● COLUMU ●○
ローテクの見直し!!
ワイヤレスLAN,Bluetooth,MPEG,JPEGと多くの新しい標準規格が頻繁に出てきているきょうこのごろ.
これらの技術を組み合わせると,それほどその分野の知識がなくても,そこそこの性能の製品ができてしまう.部品メーカもモジュール・メーカも必死になって新しい規格に準拠した部品を勧めてくる.
そして,こういった勧めにのり,最新技術で製品を完成させる.しかし,でき上がった製品の製造原価を見直すと,首をひねってしまうものが少なくない.「もっと安くできるんじゃないのか?」と.
例えば,カメラで取り込んだ連続画像を電波で飛ばす場合,ディジタル化した画像信号をMPEGまたはモーションJPEGで圧縮して,BluetoothかワイヤレスLANで送信する.受信側では受信した信号を伸張してビデオ信号としてテレビに入力する.
最新技術を駆使して製品を作るとざっとこのようになる.このときモジュールと部品トータルのコストは約1万円弱といったところだろう.これを昔ながらのビデオ信号の送受信というアナログ無線通信の手法を使うと,3,000~4,000円でできてしまうようだ.知っている人だけが得をする恐ろしい世界がすぐそこまで来ているような気がする.今こそローテクを見直してみてはいかがだろうか?
特に不景気な現在,営業や企画の担当者だけではなく,技術者もコスト感覚を身につける必要があると筆者は考えている.