つながるワイヤレス通信機器の開発手法(8) ――アーキテクチャ設計を行う
●アーキテクチャを正しく選定するには動向をつかめ
プロセッサとパッケージを中心に,アーキテクチャについて説明してきた.それでは,実際にワイヤレス機器を設計する技術者としては,アーキテクチャをどのように選択すればよいのだろうか.
昨今のワイヤレス機器を見ていると,どうもプラットホーム選びさえまちがわなければ,大きく失敗することはないのが現状のようである.
同じプラットホームの上で他社と差異化していくことは容易ではない.しかし,今回説明したように「ソフトウェアに取り込むのか,それとも外付け部品を使うのか?」,「SIP化するのか? ASICとして1チップに集積するのか?」といった見極めができれば,差異化も可能だろう.そしてその見極めは,技術動向のどの辺りに自社の技術があるのか,これからどの方向に向かうのかさえわかれば,案外簡単なことかもしれない.
禅問答のようで難しいかもしれないが,まずは動向を明確に把握するところから始めてほしい.
おおた・ひろゆき
加賀電子(株)
◆筆者プロフィール◆
太田博之.20年近くにわたりGPS,携帯電話,ワイヤレスLAN,Bluetooth用システムおよびシステムLSI開発を経験.現在はBluetooth開発アライアンスhimicoプロジェクト(http://www.himico.com/)でコーディネータとしてアライアンスに参加.システムLSI開発から次のフェーズへのステップアップを模索中.趣味はあまたある通信標準規格をだれよりも早く理解すること.