つながるワイヤレス通信機器の開発手法(8) ――アーキテクチャ設計を行う
●16ビットから32ビットへ
アプリケーションの増加により16ビットCPUでは処理が間に合わなくなってきたため,32ビットRISCに移行した.このころ,各メーカは「CPU+通信処理回路」を一つのLSIに集積したものをベースバンドLSIとして使っていた.そのため,図5のようにCPUの部分のみを入れ替えて,通信処理回路は共通にした.このような置き換え方法によって,通信処理にかかわるハードウェアとソフトウェアの部分はそのままで,かつ,アプリケーションに使えるCPUリソースが増えたことになる.また,通信処理部分の新たな開発とデバッグの必要がなく,短期間にアプリケーションの高度化を図ることができた.
このころからアプリケーションはさらに高度化した.ソフトウェア処理で間に合わない部分は,外付けのLSIとして追加することが多くなった.その典型が音源LSIである.16和音などのきれいな音を出すためにはソフトウェアだけの処理では困難であり,専用音源LSIを搭載する携帯電話が増えてきた.
〔図5〕通信処理回路を共通化
16ビットCPUから32ビットCPUへ移行する段階では,通信処理回路は共通化し,CPUだけを入れ替えた.これによって,短期間にアプリケーションの高度化を図ることができた.