つながるワイヤレス通信機器の開発手法(2) ――製品機能を決める

太田博之

tag: 組み込み

技術解説 2002年10月11日

○● COLUMU ●○
製品機能とものの値段

 前回のコラム(コラム「メーカが仕様を提案するメリット」を参照)でも書いたが,仕様が決まった直後に製品を出すことができるメーカが存在する.仕様が発表される時期と製品が出る時期がほぼ同時で,その製品が広く一般に普及するためにかかる期間も1~2年と短い.

 この非常に速い製品普及のスピードを考えると,開発費をどこで回収するのか疑問になる.最初に製品を出すことができた数社が開発費を回収できて,それ以外のメーカは開発費を回収することができないのではないか?

 特にIP(知的財産)と呼ばれるソフトウェア部品やRTLなどの回路設計の成果物は,実態としてとらえにくく値決めが難しい.そのため,仕様が決まった直後は,購入者は売る側の言い値で購入することが多い.そして製品が広く普及するころには,ただ同然となる場合がある.

 ソフトウェア・ベンダなどが生き残るためには,ハードウェアやLSIとひとまとめにして,それらの部品代の一部として収入を得る方法がある.例えばBluetoothの場合,プロトコル・スタックと呼ばれるソフトウェアが必要になる.2年ほど前まで,プロトコル・スタックのソフトウェアは,数百万~1千万円以上のライセンス料で,開発したソフトウェア・ベンダからLSIメーカや機器メーカにライセンスされていた.しかし,広く普及し始めた現在は,ソース・コードをすべて公開したとしても,IPとしての価値はほとんど認められず,移植などの実作業に対する費用のみとなっている場合が多い.

 このような状況のもと,大多数のソフトウェア・ベンダは,最初にほんとうに必要な製品機能だけを備える製品(全仕様のうちの一部のみを実装)をすばやく市場に投入し,なるべく多くのLSIメーカや機器メーカに採用され,将来の安定収入を確保するように動いている.この動きに乗り遅れたベンダは消えてなくなるか,力のあるLSIメーカ,あるいは機器メーカに吸収される運命が待っているようだ.

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