Cベース設計教育の カリキュラム構築から運用まで
Column リタイア勧告
「リタイア勧告」ということばは,今の社会情勢を考えるととても危険なことばです.入門コースを受講するための要件である「ある程度のC言語スキルを持つこと」を満たしていないことが判明した時点で,直ちに受講を中断してもらっています.これがリタイア勧告です.
これまでのリタイアの状況は,みずからスキル不足を悟って自主退場したケースや上司がトレーナとの回答と添削のやり取りを見かねて中断を申告してきたケース,そして,トレーナが明らかなスキル不足と判断して上司へ進言したケース,とさまざまです.
学習スケジュールから大幅に逸脱して遅れている受講生には,トレーナから本人と上司へ「あおり」の連絡が届きます.さらに改善が認められない場合には,リタイア勧告をほのめかす「脅し」の通知(通称,不幸のメール)を受け取ることになるでしょう.
受講生は,リタイア勧告や不幸のメールの制度があることを教育コースの募集時や開講前に宣言されているので,適度な緊張感を持って研修に当たっているようです.
受講生は,C言語スキルの前提条件を二つの関門でチェックされます.第1関門は,Web上で行う択一式テスト(20問)です.合格する(合格ラインは80点)まで何度でも受験可能です.ただし,一度でも60点未満になると,その時点でWeb教材へのアクセス権がはく奪され,学習を継続できなくなります.第2関門は,プログラミング演習です.簡単なCのプログラムを作成し,自己チェックの後,ソースをトレーナに提出します.記述スタイルを含めて厳しくチェックされ(正しく動作するのは最低基準),添削が行われます.合格になるまで再提出が要求されます.想定した期間内に合格基準に達しそうにない場合,受講生の上司へリタイア勧告が届きます.