PLD デバイス・アーキテクトの決断 ――Altera社 ARM-based Excalibur の場合
●ハードIPサブシステムのコスト
ハードIPのプロセッサ・サブシステムを使用する利点は,ほかにもあります.それはデバイス・コストと開発コストの低減です.デバイス・コストの低減は,主にダイ面積の縮小に起因します.ダイ上に完全なプロセッサ・サブシステムが集積されていないPLDでは,周辺回路の構築や設計が必要になります.また,そのためにプログラマブル・ロジックのリソースを消費せざるをえません.ここで,ハードIPによるサブシステムの構築とソフトIPによるサブシステムの構築について簡単なリソースの分析を行ってみましょう.
プロセッサ・サブシステムにおいて,周辺回路の実装に必要となるプログラマブル・ロジック部のロジック・エレメント(LE:logic element)数は約6,000です(機能的に等価なソフトIPに基づいた数値).この中には,メモリ,トレース・モジュール,コンフィグレーション回路,リセット/モード制御論理,クロック生成用PLLは含まれていません.これらのうち,もっとも大きなダイ面積を必要とする回路はメモリです.最小のARM-based Excaliburデバイスである「EPXA1」に提供されている16KバイトのデュアルポートSRAMと32KバイトのシングルポートSRAMを実装するには,190を超えるESB(エンベデッド・システム・ブロック)の追加が必要となります.したがって,例えばEPXA1のハードIPによるプロセッサ・サブシステムと同等の機能をプログラマブル・ロジックで実現しようとすると,LE数は2.5倍近くになり,ESBは8倍以上になります.