Springboard Development Kit ――開発ツール・レビュー

相田泰志

tag: 組み込み

技術解説 2002年5月16日

●PDA周辺機器開発のポイント

 PDA周辺機器の開発は,パソコン用周辺機器や産業用機器とは決定的に違う特徴があります.それは消費電力と実装サイズです.もともと,乾電池数本で動くような機器ですから,大きな電力を取ることはできません.また,電圧も3V系が主流になります.さらに実装を考えると,汎用LSIをたくさん搭載するスペースはありませんから,ASICやプログラマブル・デバイス(Complex PLDやFPGA)を使用したくなります.しかし,大規模なFPGAを利用してしまうと,周辺機器自体の消費電流が大きくなり,どちらのための電源かわからなくなってしまいます(昔のモデム・カードなどでよくあった現象).

 このような要求に合ったLSIの一つに,米国Xilinx社のComplex PLD「CoolRunner」ファミリがあります.低消費電力を特徴としたComplex PLDで,3.3V動作のCool Runner XPLA3と,1.8V動作のCoolRunner-Ⅱがあります(表1).携帯機器などに実装するにはぴったりです.乾電池による動作でも問題ありません(表2).いくつかのPDAでも使われているようです.

 PDA用周辺機器の開発キットに,米国Insight Electronics 社(http://www.insight-electronics.com/)の「Springboard Development Kit(DS-KIT-SPRINGBOARD-PAK)」があります(写真1,以下単に「開発キット」と呼ぶ).この開発キットでもCoolRunnerが使われています.

 今回,この開発キットを使用する機会があったので,レビューをかねて,PDA向けアプリケーション開発の実際を紹介します.

〔表1〕CoolRunnerファミリの概要

ファミリ
型 名
マクロ・セル
遅延時間 (ns)
最大動作周波数 (MHz)
I/O数
CoolRunner XPLA3
(3.3V動作)
XCR3032XL
32
5.0
200
36
XCR3064XL
64
6.0
145
36~68
XCR3128XL
128
6.0
145
84~108
XCR3256XL
256
7.5
140
120~164
XCR3384XL
384
7.5
127
118~220
XCR3512XL
512
7.5
127
180~260
CoolRunner-II
(1.8V動作)
XC2C32
32
3.5
303
33
XC2C64
64
4.0
270
33~64
XC2C128
128
4.5
244
80~100
XC2C256
256
5.0
222
80~184
XC2C384
384
6.0
204
118~240
XC2C512
512
6.0
204
173~270

〔表2〕CoolRunnerの消費電流

周波数(MHz) 0 1 10 20 40 60 80 100 120 140
消費電流(mA) 0.02 0.91 8.87 17.7 34.8 51.5 68 84.2 100.1 116.6

p01_01.jpg
〔写真1〕Springboard Development Kit

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