組み込みシステム制約とそれに対するアプローチ ―― 模型ロケットに観測システムを組み込んだ「Hamana-5」プロジェクトに学ぶ
●電源の構成はなぜか同じ
「両刀使い」,「TMR」,「R2D2」はそれぞれのハードウェア構成をとりながら,電源周りの構成はなぜかほぼ同じでした.各チームとも1次乾電池を使用しており,電圧は9Vでした.
「両刀使い」は小型の9V乾電池を使用し,容量を確保するために3本を並列に接続していました(写真8).「TMR」は,3Vのボタン型リチウム乾電池を3本直列に接続し,9Vとしていました.「R2D2」は,9Vの角型乾電池を使用しました.各チームともこのバッテリーから9Vをペイロードで使用する電圧を生成するために,3端子レギュレータを使用していました.
各チームを襲ったトラブル
このように,各チームはそれぞれの考え方でペイロードを作ったわけですが,ここで,各チームを襲ったトラブルとその対策方法を紹介します.また,対策できなかったトラブルについても考えてみたいと思います.トラブルには,ハードウェア的なトラブルとソフトウェア的なトラブルがありましたが,今回は,ハードウェア的なトラブルを中心に紹介します.
なお,参加チームの所属する企業の名誉のためにお断りしておきますが,ここで紹介する各チームは,主に新入社員教育としてHamana-5プロジェクトに参加しており,以下に紹介するトラブル事例は,その企業の技術力とは何の関係もありません.おそらく,各チームが所属する企業の技術力から考えればここで紹介するようなトラブルは全く起こらず,この記事自体が成立しなかったことでしょう.