組み込みシステム制約とそれに対するアプローチ ―― 模型ロケットに観測システムを組み込んだ「Hamana-5」プロジェクトに学ぶ

松本 哲明

tag: 組み込み 電子回路

技術解説 2009年5月 1日

ロケットならではのトラブルと対策

 ここでは,ペイロードのハードウェアもソフトウェアも関係ない,模型ロケットならではのトラブルも紹介します.

●パラシュートが開かない

 模型ロケットは,打ち上げ後,パラシュートを使って降下します.このパラシュートがうまく開かないと,落下速度を抑えられず,搭載したペイロードや機体を破損する可能性が高くなります(写真12)


[写真12] 破損したロケット

 

 模型ロケットのエンジンは,燃焼終了後,一定の時間経過してから,逆噴射します.この逆噴射により,胴体内のパラシュートを外部に放出してパラシュートが開くのですが,パラシュートは熱に弱い素材でできているので,逆噴射の熱で溶けてしまわないように不燃紙を胴体内に入れて,熱から保護します(図10)


[図10] パラシュート放出の仕組み

 

 この不燃紙の入れ方が不適切だと,逆噴射の熱でパラシュートが融着してしまい,正常に開かなくなってしまいます.

●ゴムひもが切れた

 パラシュートが開かないことよりさらにショックなのが,ロケット本体とロケットの先端部分(ペイロード格納部分),パラシュートをつないでいるゴムひもが切れたときです.このゴムひもが切れると,本体とペイロード格納部分が分離し,自由落下することになります.自由落下なので,パラシュートが開かないときよりも落下速度が速く,機体やペイロードに与えるダメージはさらに大きくなります.

 ゴムひもが切れる主な原因は,逆噴射の熱によるゴムひもの劣化です.打ち上げ前には必ず,ゴムひもをチェックするようにしましょう.

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