組み込みシステム制約とそれに対するアプローチ ―― 模型ロケットに観測システムを組み込んだ「Hamana-5」プロジェクトに学ぶ
●ロケットが飛ばない
ロケットで最も緊張する瞬間,それは,やはり発射の瞬間ではないでしょうか.模型ロケットの発射は,イグナイタという点火剤に電気を流して発火させ,エンジン(火薬)に点火します.この点火に失敗すると,
「3,2,1,イグニッション!! ......あれ? 飛んでいかない」
という事態になります.
このとき,あわててロケットに近づくのは非常に危険です.なぜなら,エンジンに点火するのが遅れているだけであったり,エンジンが湿気で燃えにくい状態になっているだけで,もうすぐ点火する場合があるからです.ロケットを持っているときや,上から覗き込んだ時に点火すれば大けがをしますし,横に倒しているときに点火すれば,人に向かって飛んでいく可能性もあります.
このようなときは,発射中止のシーケンスに入り,静かにロケットを見守ります(写真13).そして,1分経過した時点で,点火する可能性はないと判断して,ロケットを回収します.
点火不良の原因としては,エンジン,イグナイタの不良もあるのですが,そのほとんどは,以下の3点です.
- イグナイタ装着時のイグナイタの損傷
- 点火装置のバッテリ不足
- イグナイタと点火装置との接続不良
* * *
以上のように,Hamanaプロジェクトに参加した各チームのアプローチとトラブル事例を紹介しました.このようにさまざまな経験ができるHamanaプロジェクトに,皆さんも参加してみたいと思いませんか? 今年も「Hamana-6」としてHamanaプロジェクトを実施しますので,興味のある方は,HamanaプロジェクトのWebサイトをご覧になってください.
参加申し込みをお待ちしています.
まつもと・てつあき
(株)ヴィッツ
◆筆者プロフィール◆
松本 哲明(まつもと・てつあき).子供のころから物作りが好きで,組み込みシステム・エンジニアを職業として四半世紀.HamanaプロジェクトにはHamana-3より参加している.Hamana-5では実行委員として,30数年のラジコン歴で培った木工技術を駆使し,ペイロード開発部門で使用するロケットを製作.趣味はラジコン,バイク,フリー・クライミング.