組み込み分野における「マルチプロセッサ」とは ―― 多機能・低消費電力の要求にこたえるための技術的要素と課題

吉田正康

tag: 組み込み

技術解説 2005年9月27日

2.マルチプロセッサを支える技術

 従来,大規模コンピューティングを中心に採用されていたマルチプロセッサが,組み込み機器でも使えるようになってきた背景には,以下のようなものが挙げられます.

●トランジスタの微細化による機能集積

 現在,組み込み機器向けの半導体には,一般に設計ルールが130nmの製造プロセスが用いられています.これが,2005年から2007年にかけて90nmに移行していきます.さらに,その先を見越して65nmプロセスの開発が進んでいます.130nm→90nm→65nmとトランジスタの微細化が進むと,同一面積上に搭載できるトランジスタ数は約2.1倍,それからさらに約1.9倍と増えていきます

 つまり,同等機能で同等の価格を維持するという前提であれば,性能向上に使えるトランジスタ数は飛躍的に向上していくということになります.

●高機能OSによるマルチタスク処理の普及

 とくに,負荷分散型のマルチプロセッサにおいて,プロセッサが実行するタスクやスレッドの処理を割り付けるOSの存在は必須です(コラム「プロセス,タスク,スレッド」を参照).

 近年,組み込み機器分野においても,OSによる複数のタスク処理(マルチタスク)のスケジューリングは一般的になっています.中でもLinuxやWindowsといった高機能なOSを用いれば動的にタスクを配分することができ,完全な対称マルチプロセッサに対応した処理が期待できます.

 なお,機能分散型マルチプロセッサでは,かならずしもOSの機能は必須ではありません.

 ;トランジスタの微細化によって,LSIのサイズがかならず小さくなるとは言い切れない.実際には,LSIの出力端子数の関係で,LSIパッケージのサイズが変わらないケースが多々ある.

組み込みキャッチアップ

お知らせ 一覧を見る

電子書籍の最新刊! FPGAマガジン No.12『ARMコアFPGA×Linux初体験』好評発売中

FPGAマガジン No.11『性能UP! アルゴリズム×手仕上げHDL』好評発売中! PDF版もあります

PICK UP用語

EV(電気自動車)

関連記事

EnOcean

関連記事

Android

関連記事

ニュース 一覧を見る
Tech Villageブログ

渡辺のぼるのロボコン・プロモータ日記

2年ぶりのブログ更新w

2016年10月 9日

Hamana Project

Hamana-8最終打ち上げ報告(その2)

2012年6月26日