組み込み分野における「マルチプロセッサ」とは ―― 多機能・低消費電力の要求にこたえるための技術的要素と課題

吉田正康

tag: 組み込み

技術解説 2005年9月27日

3.組み込み機器向けの マルチプロセッサの課題と展望

 以上,組み込み機器の分野におけるマルチプロセッサについて簡単に説明しましたが,とくにホモジニアスな対称マルチプロセッサ技術はまだ導入初期であり,実際の適用にあたっていくつかの課題があります.以下に,おもな課題とその対策について簡単に説明したいと思います.

● シングル・タスクの性能実現に向けた投機実行

 対称マルチプロセッサは,マルチアプリケーション,マルチタスクの処理の加速に適したアーキテクチャですが,組み込み機器においては,かならずしもつねにマルチタスクになるとは限りません.この場合,タスクをより小さな単位であるスレッドに分割して並列動作させることが可能です.しかし,組み込み機器においてはスレッド・プログラミングが適用されていないものがあり,注意が必要です.

 なお,本件に関する新しい動きとして,並列実行が可能なスレッドをコンパイラが自動抽出してプロセッサが投機的に実行していく,という考えかたがあります.図6に筆者らの研究内容を簡単に説明します.これにより,マルチプロセッサの負荷分散の効率を最大限に発揮することができます.

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図6  自動並列化による投機並列実行
自動並列化により,さらなる性能効率の改善,開発の効率化を行う.この方法のメリットは,並列動作が可能な命令の発行ウィンドウを不連続に広げられること.

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