組み込み分野における「マルチプロセッサ」とは ―― 多機能・低消費電力の要求にこたえるための技術的要素と課題

吉田正康

tag: 組み込み

技術解説 2005年9月27日

● 複数のプロセッサで性能が向上し,消費電力が下がる

 マルチプロセッサによる性能向上の要因としては,以下のものが挙げられます.

  • 処理のスループット向上
  • レスポンスの向上

 処理のスループット向上とは,複数プロセッサの同時動作によるピーク性能の向上を指しています.

 レスポンスの向上とは,マルチタスク環境下で動作しているシステムにおいて,タスク応答待機しているプロセッサが増えることにより,ほかのタスクの終了を待つ可能性が低下することです(図3)

 また,マルチプロセッサ構成をとると低消費電力化を図ることができます.さて,これはなぜでしょうか.

 これまで,プロセッサの高性能化は主として周波数の向上によって実現されていました.プロセッサの設計者はこのために以下のような改善を行ってきました.

  • トランジスタの微細化による負荷容量の低減とトグル周波数(トランジスタのスイッチング速度)の向上
  • 論理ゲートのファンアウト数の低減とゲート遅延の圧縮
  • プロセッサ演算器のパイプライン化によるスループットの改善

 この中で,とくに「トランジスタの微細化」と「トグル周波数の向上」を両立させるためには,相対的に大電流が流れるようにLSIを製造するか,もしくは相対的に高い電圧で駆動する必要があります.これらの設計は消費電力を大きくする方向に働きます.マルチプロセッサでは,単一プロセッサと同じ性能を実現するために低い動作周波数のプロセッサを複数用いることで,消費電力の増加につながる製造や駆動に関する問題を回避します.
 

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図3  マルチプロセッサによるレスポンスの改善
シングル・コアの場合と比べて,マルチコアでは次のスレッドに対するレスポンス時間を短縮できる.

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