組み込み分野における「マルチプロセッサ」とは ―― 多機能・低消費電力の要求にこたえるための技術的要素と課題
● システム性能の最適化のため負荷のバランスを考えて
分割されたタスクやスレッドの負荷のバランスが悪いと,特定のタスクまたはスレッドがボトルネックとなって負荷が適正に分散しません.このため,各タスクやスレッドのバランスを考えたソフトウェアの設計・開発が必要になります.
それぞれのタスクやスレッドの性能は,厳密にはハードウェアに実装したときに初めて決まります.このため,机上でシステム性能を見積もるためのハードウェアのエミュレーション環境や,実ハードウェアの性能を正確に計測するツールが必要になります.このようなツールは,図7の例のようにいくつか出始めていますが,まだまだ普及にはいたっていません.
図7 マルチプロセッサのデバッグ環境
プロセッサの使用効率のモニタリングやプロセッサ間のクロス・トリガ機能によって,性能の最適化や効率の良いデバッグを行う必要がある.一例として,筆者らがマルチプロセッサの開発に使用しているツールのイメージを示す.