TCP/IPプロトコル・スタックの省メモリ開発事例(前編) ――ミドルウェアの追加で既存の16ビット・マイコンがネット対応マイコンに変身
8)ACKによる受信確認・再転送(TCP層)
TCPの信頼性確保の基本となるものがACKです.相手から受信したパケットに対して,ACKと呼ばれるパケットを相手に送り返します(図9).相手はACKを受信することによって,自分が送信したデータが正しく受信されたことを確認します.一定時間待ってもACKが返ってこない場合,途中で送信データが消失したと判断し,同じパケットを再転送します.ACKによる受信確認と再転送によって,TCPの信頼性が確保されます.
そのほか,TCP/IPのAPI(application programming interface)は,組み込み機器の応用を考慮して,ITRON TCP/IP API仕様(2)に準拠させることにしました.独自APIにするとコード量を低減できますが,アプリケーション・プログラムの再利用が困難になるため,公開されている仕様に準拠させることにしたのです.