TCP/IPプロトコル・スタックの省メモリ開発事例(前編)  ――ミドルウェアの追加で既存の16ビット・マイコンがネット対応マイコンに変身

浅井 敬,佐藤 剛,坂本直史

tag: 組み込み

技術解説 2004年12月16日

2) ユーザ領域の利用

 RAMの使用量をさらに削減するため,ユーザ領域に注目しました.TCP/IPプロトコルを利用して通信を行う場合,基本的にユーザ領域内に送信データ領域や受信データ格納用領域を確保してからTCP/IPのAPIを呼び出します.筆者らは,この確保した領域を一時的にバッファとして利用することにより,さらにRAM使用量の低減を図りました.

 これまで述べてきたような方法を用いて,実際にコードを記述し,実装を行いました.その結果,コード量(ROM使用量)を34.8Kバイト,RAM使用量を7.4Kバイトにすることができました(表2).どうにか,目標どおりのメモリ使用量でTCP/IPプロトコル・スタックを実現できました.

表2 評価結果

ROM使用量(バイト) 34.8K
RAM使用量(バイト) 7.4K
通信速度
(bps)
TCP (送信/受信 2.6M/1.1M
UDP (送信/受信) 3.7M/1.4M

(後編へ続く)

参考・引用*文献
 (1) RFC,http://www.rfc-editor.org/
 (2) ITRON TCP/IP API仕様,http://tron.um.u-tokyo.ac.jp/TRON/ITRON/SPEC/tcpip-j.html
 (3) ルネサス テクノロジのミドルウェアに関するホームページ http://www.renesas.com/jpn/products/mpumcu/tools/mw/


あさい・たかし
さとう・ごう
(株)ルネサス テクノロジ

さかもと・ただし
(株)ルネサス ソリューションズ

<筆者プロフィール>
浅井 敬.
1965年生まれ.三菱電機に入社し,おもにDSPや組み込みマイコンの応用システム,ミドルウェアの開発に携わる.2003年,半導体事業本部の分社化に伴ってルネサステクノロジに転籍し,組み込みマイコン向け通信プロトコル・スタックの開発に携わる.趣味はドライブ,テニス,スキーなど.

佐藤 剛.
1971年生まれ.三菱電機に入社し,おもに組み込みマイコンの応用システムやミドルウェアの開発に携わる.2003年,ルネサス テクノロジに転籍し,組み込みマイコン向け通信プロトコル・スタックの開発に携わる.趣味はオートバイ,スキー,写真,読書など.

坂本直史.
三菱電機に入社後,半導体用CADの研究開発を経て,マイクロプロセッサの研究開発に従事.おもに組み込みマイコンの応用システムやミドルウェアの開発に携わる.2003年,ルネサスソリューションズに転籍し,引き続きマイコンの応用技術に従事.また,組み込みソフトウェア開発の方法論や技術者育成にも興味を持ち,SESSAMEでも活動.白いノート・パソコンiBookを持って大阪・東京間によく出没.

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