TCP/IPプロトコル・スタックの省メモリ開発事例(前編) ――ミドルウェアの追加で既存の16ビット・マイコンがネット対応マイコンに変身
安価な16ビット・マイコンは機器制御などに広く使われている.そのマイコンにTCP/IPプロトコル・スタックを搭載すれば,マイコンはネットワーク対応マイコンに変身し,ネットワーク経由で機器の情報を取得したり,設定を変更したりすることができる.本稿では,TCP/IPプロトコル・スタックの16ビット・マイコンへの実装について解説する.メモリ制約の範囲内に収まるように,必要な機能を取捨選択し,処理を簡略化して,最終的にはROM 8Kバイト以内,RAM 0.5Kバイト以内に収まるTCP/IPプロトコル・スタックを作った. (編集部)
16ビット・マイコンは各種機器の制御用途に広く使われています.具体的には,外部で発生した情報をセンサなどを利用して取得し,それらの値に基づいてマイコンが機器の動作変更などを行います.これまでは,それぞれの機器が独立に動作しており,機器の設定変更や状態の確認といった保守作業については,担当者が機器のある場所まで移動して作業を行っていました.筆者らは,今後はネットワーク経由で機器情報を取得したり,マイコンの設定を変更したりする応用が出てくるのではないかと考え,組み込みマイコン向けのコンパクトなTCP/IP(transmission control protocol/internet protocol)プロトコル・スタックを開発することにしました(図1).