TCP/IPプロトコル・スタックの省メモリ開発事例(前編) ――ミドルウェアの追加で既存の16ビット・マイコンがネット対応マイコンに変身
● TCP/IPで外せない機能をリストアップする
TCP/IPの機能は,インターネット関連技術の標準化団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)が規定しています.これらは公式文書「RFC(Request for Comments)」としてまとめられ,インターネット上で公開されています(1).RFCではTCP/IPに限らず,インターネットで用いられるさまざまな通信プロトコルが規定されており,だれでも仕様書をダウンロードして閲覧することができます.
RFCにはすべて番号が割り振られており,TCP/IPに関連したRFCも数多くあります.例えばTCPは,RFC793をはじめとする複数のRFCに仕様が規定されています.その中で,全体の機能の概要がまとめられているのが,RFC 1122です(図3).筆者らもおもにこのRFCに従って開発を行いましたが,すべての仕様を実現しようとすると,どうしてもコード量が大きくなってしまいます.そこで,RFCに規定されていても,想定する用途では不要だと判断した機能については実装を省略しました.
RFC1122で規定されている機能のうち,筆者らが最低限必要と考えた機能を以下に示します.