センサのためのマイコンを選ぶ ──センサ利用のノウハウをファームウェアとして提供
1) 温度計測
温度計測は基準発振と計測発振の二つの機能から構成されています.サーミスタの抵抗値を周波数に変換して,マイコン内に取り込みます(図4).
基準発振では,まず,負荷抵抗として基準抵抗を規定回数(本事例では2,000回)CR発振させ,このときの時間をタイム・ベース・カウンタにカウントしておきます.次に,負荷抵抗をサーミスタに変えて,同じ時間だけ(具体的にはタイム・ベース・カウンタをカウントダウンして)CR発振させ,その電圧レベルの変化を計測カウンタに取り込むことにより,A-D変換が完了します.この二つのCR発振は,負荷抵抗を基準抵抗にするかサーミスタにするかが違うだけで,そのほかの回路は共通です.したがって,基準容量の誤差や温度特性,マイコン内の回路のON抵抗などの誤差要因は,二つの発振を比較することで相殺され,純粋に基準抵抗とサーミスタ抵抗の差を取り出すことができます.これが先ほど述べた,誤差を排除するくふうです.
基準抵抗には高い精度が要求されます.ここでは,±1%の抵抗を推奨しています.
図4 温度を計測し,マイコンに取り込む処理の流れ
基準発振と同じ時間だけセンサ素子を発振させ,そのカウンタ値を得る.