センサのためのマイコンを選ぶ ──センサ利用のノウハウをファームウェアとして提供

三好 彰, 丸山久則

tag: 組み込み

技術解説 2004年10月 4日

1) センサ素子

 本事例では,センサ素子として,使いやすく構造が簡単で安価な抵抗変化型高分子湿度センサ(北陸電気工業のHIS-06)を使用しました.このセンサ素子は,センサ母材である高分子体が湿度を帯びることによって,内部のイオンが移動しやすくなり抵抗値が下がる現象を利用しています.そのため,このセンサの抵抗値を計測する場合に,1方向の電圧をかけ続けると,イオンが一方に移動して電気伝導度の特性が変わるため,センサとして使用できなくなるという特性があります.このため,後述のようにマイコン側のインターフェースをくふうして,この問題を回避しています.

2) インターフェース

 センサ素子の抵抗値を,CR発振を利用してA-D変換するという動作は,サーミスタを用いた温度計測の場合と同じです.このため,基本的には図3の計測回路と同じものを使います.ここでは二つのスイッチとバイアス用トランジスタを新たに設け,湿度センサにかかる電圧を交互に変えられるような駆動回路を実現しました(図8).交互バイアスにより,センサ内のイオンが偏らないようにして,センサの劣化を防いでいます.

 また,本事例で使用した湿度センサは,ダイナミック・レンジが非常に大きく,温度と湿度によって1kΩ以下から10MΩ以上までその抵抗値が変化します.湿度センサの抵抗値が10kΩ以下の低抵抗領域では,このマイコンのA-D変換回路中のトランジスタのON抵抗のばらつきなどが影響して,A-D変換の精度が悪化するおそれがあります.本事例ではこの影響を排除するため,湿度センサに10kΩの抵抗を直列に接続し,全体としてセンサ系の抵抗値が10kΩ以下にならないようにくふうしました.また,データ・テーブルもこの特性に合わせて調整しました.

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図8 湿度計測のCR発振回路
使用した湿度センサは1方向の電圧をかけ続けると使用できなくなるため,二つのスイッチとバイアス用トランジスタを新たに設け,湿度センサにかかる電圧を交互に変えられるような駆動回路を実現した.

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